2006年11月10日 (金)

愚かさは罪 『赤い指』

読んだのはかなり前になるのですが、今日は東野圭吾氏の小説
『赤い指』の感想を書こうと思います。

赤い指 赤い指

著者:東野 圭吾
販売元:講談社
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本書は加賀恭一郎シリーズの最新作であり、息子の犯罪を
隠蔽しようとする夫婦に加賀刑事が挑むという物語です。

少年犯罪や老人介護の問題を取り扱っており、
親子二世代で暮らす一般的な家庭で起こった悲劇を通して
子が罪を犯した時に親はどうあるべきか、
現代社会における親と子の在り方とは何かを、
深く考えさせられる小説
となっていました。

東野圭吾氏は犯罪に直面した人間の心情を描くのが巧みで、
いつもその心理描写の生々しさに感心しさせられるのですが、
本作では残酷かつ卑劣な犯罪を犯した子供を育んだ
両親の愚かさに圧倒
されます。

バカ親の愚かさ・醜さ加減をとことん執拗に描写され
ページを繰るごとに激しい不快感と怒りが湧き上がってくるため、
私は激しい感情に引っ張られ、本書を一気に読み終えてしまいました

正直言って、オチの付け方は強引な点が見られるというか、
ある重要な人物の行動がミステリーのためのミステリー的な
不自然さを感じさせる行動になってしまっている感はあります。

ただ、それでも本書の問題提起の鋭さや、家庭を崩壊させる
人間の心に巣くう病理が克明に描き出す東野氏の筆力には
深い感銘を受けました。

ミステリーとしての質はあまり高くないと思いますが、
社会の病理に切り込んだ小説としては充分に読ませる作品
あったと思います。

あと、私としては事件自体は悲惨極まりないものの、
加賀刑事のプライベートのエピソードで締めくくられる
エピローグは後味の良いものとなっており、
読後感は悪くなかった点も本書の良い点だと感じました。

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2006年8月18日 (金)

名探偵v.s.名犯人 「容疑者Xの献身」

今さらながら第134回直木賞受賞作品、
東野圭吾の「容疑者Xの献身」を読みました。

容疑者Xの献身 容疑者Xの献身

著者:東野 圭吾
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本作の主人公は数学者として天才的な頭脳を持つものの、
今は高校の数学教師に甘んじている冴えない男性石神。

彼が密かな恋心を抱く隣人女性、花岡靖子とその娘の犯罪を知った
彼は、母娘をかばうために完全な犯罪計画を構築する。

完璧な隠蔽工作であったが、石神と同窓であり
殺人事件の解決に貢献したこともある物理学者、湯川が現れ……、

というストーリー。

 

類まれなる頭脳を持つ者同士の緊迫感溢れる攻防の面白さ
引っ張られ、最後まで一気に読み進めました。

また、靖子に言い寄る男性の出現による、
石神と靖子の心理面の揺れも読みどころ

ミステリー読者の盲点をつく大胆なトリックと、
石神の心情が明らかになる真相も圧巻

東野圭吾氏の作品を読むのは久々でしたが、
やはり上手い作家だなあと感心することしきりでした。

ただ、ネタバレになるので詳しくは書きませんが、
純愛という一言で感動要素のみ強調する帯の文は
倫理的な面で若干気になってしまいました

やはり犯人のやったことは許しがたい行為なわけで、
帯の文のように綺麗ごとな表現でまとめられてもなあ、と。

まあ、出版社の売り方に対する不満であり、
本編自体はその辺をわきまえている感じはあったのですが。

あと、確かにとても面白く上質な作品ではあるものの、
本作が過去に直木賞候補になった東野作品よりも
優れているかというと、ちょっとそうは思えなかったり。

東野さんの受賞はとてもめでたく嬉しいことなのですが、
なぜ「秘密」や「白夜行」の時点で受賞できなかったのかという
疑問は感じてしまいましたね。

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