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2006年10月10日 (火)

美しく繊細に構築された物語 『コッペリア』

加納朋子氏は北村薫氏に代表される『日常の謎』系の
ミステリー作家であり、『ななつのこ』『てるてるあした』など、
心温まる連作短編小説の名手として知られる小説家です。

その加納氏初の長編小説として発表されたのが本作『コッペリア』

コッペリア コッペリア

著者:加納 朋子
販売元:講談社
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エキセントリックな天才人形師を中心にして、人形に恋する青年と
人形にそっくりの舞台女優が織り成す恋愛ミステリー小説です。

(※以下、『コッペリア』のネタバレともとれる記述があります。
  未読の方はご注意ください。)

1章から2章にかけては昏く妖しい雰囲気が漂う
一見、加納作品としては異色の作風

人間の醜さや愚かさと言った部分も正面きって描いています。

ところが、第3章で大きく物語が反転

根底に流れているのはやはり「人間への温かい眼差し」であることがわかる
第3章は圧巻でした。

この、闇から光へとトーンが移り変わるどんでん返しの描き方が非常に鮮やか

正直、トリック自体は夫である貫井徳郎氏の作品によくあるネタなので、
かなり序盤から見当がついていたものの、トリックが作品全体にもたらす
効果については完全に予想外でした。

夫の作品ではこのトリックによって宿命的に連鎖する罪が象徴的に
描かれているのに対し、妻は人の救いの象徴としてこのトリックを
用いているようにように読み取れました。

同じトリックを使うことで、夫に妻なりの人間観を提示してるようにも見え、
ミステリー小説家夫婦ならではの対話が作品を通して繰り広げられているかの
ようにさえ思えます。

まあ、これはかなりの深読みというか、牽強付会もいいところな見方ですが。w

もちろん、本作は他の加納作品や貫井作品と絡めて解釈せず、
単独で読んでも、ミステリーとしても恋愛小説としても秀逸な作りの
楽しめる小説であることに変わりありません。

緻密かつ大胆な構成が光るとても質の高い作品でした。

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コメント

こんばんは!! コメント+TBありがとうございました♪

>「人間への温かい眼差し」であることがわかる第3章は圧巻でした。

ホント、この章があるからこその加納作品ですよね。
ミステリは人間の陰の部分をどうしても描いてしまうジャンルですが、
逆に再生を描くとこんなにも素敵なのか、と思いました。

投稿: りる | 2006年10月11日 (水) 19時55分

りるさん、
コメントありがとうございます。

特に本作のトリックは、救いのない方向に
転がる作例の方が多いだけに、
救いが訪れる本作が素敵に感じられますね。

救いの無い話も割と好きではありますけど、
加納さんのような温かいミステリーも
非常に素晴らしいと思います。

投稿: トミー | 2006年10月12日 (木) 00時09分

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『コッペリア』・・・小説  加納朋子 講談社文庫 2006.7.14(初出:2003.7) \629<ご紹介>日常に潜む小さな謎を扱うミステリを書かせたら天下一品!!と私が勝手に思っている加納朋子さんの、初めての長編作品。普段は専ら、短編連作を重ねて1作品、というパターンな...... [続きを読む]

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