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2006年10月29日 (日)

オリバー・ストーン最新作
『ワールド・トレード・センター』

昨日、『ワールド・トレード・センター』を観に行ってきました。

9.11事件時、ワールド・トレード・センターに救助活動に赴き
自らも生き埋めとなった2名の警察官が常に希望を捨てず
救助を待ち続けて生還を果たす課程を描いた映画です。

Wt01_2

これまで政治色の強い映画を撮ってきたオリバー・ストーン監督だけに
当初はブッシュ批判的意味合いの濃い作品かと思っていたのですが、
実際は愛する家族の元への帰還を願い生きることを諦めない主人公たちと、
愛する人の帰りを待ち続ける家族の深い「愛情」という普遍的なテーマに
重きが置かれており、政治色はかなり抑えられた作品になっています。

極限状況の中で被災者となった二人がお互いを励ましあい支えあう姿や
海兵隊員が自らの命を顧みず救助活動に勤しむ姿、
9.11の被災者の無事を祈り続ける者の不安、無事がわかったときの歓喜、
そして、歓喜の後に助からなかった者たちが数多く存在することに思い至る際の
何とも表現しようの無い複雑な感情といった当事者たちの心情が克明に
表現されており、胸を打たれました。

中盤以降、暗闇の中での男二人の会話など絵的に地味なシーンが続くため、
やや映画として盛り上がりに欠ける部分はありますが、
真に迫った人物の心理描写は見事で説得力があり、
ヒューマンドラマとしてはとても質の高い作品に仕上がっていると思います。

ニコラス・ケイジやマイケル・ペーニャといった俳優陣が渾身の演技を見せ、
モデルとなった人物や9.11で被害にあった方々への敬意が伝わってくる点も
素晴らしく見応えがありました。

Wt02_1

ただ、監督の持ち味である政治色を抑制したせいか、
9.11事件自体に対して監督自身がどのような問題意識を持って制作したか、
どのような考え方を持っているのかという点が見えにくい
ようにも
感じられました。

9.11事件を扱った映画として、先に公開された『ユナイテッド93』
テロリスト、被害者両面の視点で事件が多面的に描くことで
観客に自分なりの意見を考えさせる機会を与えているのに対し、
本作は見ようによっては観客に事件自体の意味合いを考えることなく
救出劇の感動のみに流されて見終えてしまう映画であるようにも思えます。

感情に訴えかけるヒューマンドラマとして良く出来ていると思いますが、
「9.11」を題材にした映画としては観客の理性への問い掛けと言う点で
若干の物足りなさと危うさを感じました

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コメント

トミーさん、こんばんは〜

いつもTB、コメントありがとうございます。
救出劇としては、ありのままを描いていて見応えがありましたね。
崩壊するシーンはそこにいるかのようで恐かったです・・・

同じ9.11の「ユナイテッド93」と比べてしまうと
インパクトに欠けますよね。
私もそこのところがもの足らなかったです。
真正面から描くのは難しい題材だと改めて思いましたよ。

ところで、こちらのブログをリンクさせていただきました!
今後ともどうぞよろしくお願いいたしますー^^

投稿: アイマック | 2006年10月29日 (日) 22時44分

トミーさん、お久しぶりです!!

お久しぶりです!!
TB&コメント、どうもありがとうございました!!

私も、観ていてグイグイ入り込んでしまったのは、
やっぱり『ユナイテッド93』の方なんですよね。

題材が題材だけに、むしろ慎重に扱うべきだと思います。
今年は乱発?的に、
続々と9.11関連作品が公開されているだけにです。
その点、『ユナイテッド93』の製作スタンスには、
余計にすごく感銘を受けました。

投稿: 伽羅 | 2006年10月30日 (月) 04時05分

アイマックさん、
TB、コメント、そしてリンクありがとうございました。
こちらからもリンクはらせていただきました。
今後ともよろしくお願いします^^

決して、悪い作品ではないんですけど、
どうしても『ユナイテッド93』と比較して
しまいますよね。
ホント、9.11は難しい題材だと思います。

投稿: トミー | 2006年10月30日 (月) 20時30分

伽羅さん、
TB&コメント、ありがとうございます。

作り手の事件に対する思いや
考えが問われる題材ですよね。
事件を深く追求すると言う姿勢で
『ユナイテッド93』の方が
作り手の気迫を感じたように思います。

投稿: トミー | 2006年10月30日 (月) 20時34分

こんばんわ。
TB&コメントありがとうございました。
救出されたのはとても奇跡的でそれにみんなが力をあわせたのも素晴らしいことなんですけど、
そこに9.11であることの意味を感じられませんでした。
「ユナイテッド93」と比べてしまいますね・・。
俳優さんも良かったけれど、有名どころを持ってこられるとつい、「ニコラス・ケイジ痩せたな~」なんて思っちゃって・・(^^;

投稿: PINOKIO | 2006年10月31日 (火) 02時37分

PINOKIOさん、
TB&コメントありがとうございます。

確かに9.11であることの意味は
見出しにくかったですね。
別に9.11を直接描かなくても
この映画の主題は語れたように感じます。

ニコラス・ケイジは確かに痩せてましたね。
一瞬、別人に見えるくらい……。

投稿: トミー | 2006年10月31日 (火) 23時32分

TB&コメントありがとうございました!
瓦礫の中のシーンは地味な印象が残りましたが、
ヒューマンとして、素晴らしい作品だったと思います。

投稿: rino | 2006年11月 5日 (日) 22時13分

rinoさん、
TB&コメントありがとうございました。

ヒューマン映画として私も感動しました。
家族の愛情の深さの描写が特に良かったと思います。

投稿: トミー | 2006年11月 5日 (日) 22時38分

こんばんわ!コメントありがとうございました。

このテーマなら9.11を題材にオリバー・ストーンが監督する必然性はほとんどないような気がしますね。
作品としてはいい出来だと思います。
ストーン特有の"押し付けがましさ"を肝心なときに出し惜しみするなんて(笑)

投稿: moviepad | 2006年11月 8日 (水) 00時37分

moviepadさん、
TB&コメントありがとうございました。

確かに出し惜しみ感がありますね、本作には。
いい映画とは思うのですが、物足りなさを
感じてしまったのは残念でした。

投稿: トミー | 2006年11月 9日 (木) 00時11分

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