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2006年8月30日 (水)

「新訳」三部作完結! 「機動戦士ZガンダムⅢ -星の鼓動は愛-」

「機動戦士ZガンダムⅢ -星の鼓動は愛-」を見ました。

機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛- 機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-

販売元:バンダイビジュアル
発売日:2006/08/25
Amazon.co.jpで詳細を確認する

テレビアニメ版に新作カットを加え再構成した
劇場版「機動戦士Zガンダム」三部作の完結編です。

ガンダムファンの間でも賛否両論な劇場版ですが、
私はどちらかというと前作・前々作で満足できなかった方です。

本作も満足いく内容ではありませんでした。

まず、前作・前々作同様にメリハリがなく単調なストーリー
激しいメカバトルを繰り広げながら、同時に思想的な
議論を展開させるのがガンダムの醍醐味だとは思いますが、
この三部作は終始そればかりで、見ていて飽きました。

「ファーストガンダム」劇場版三部作の方が1本あたりの尺は
長いのですが、「Zガンダム」三部作の方が体感時間では
遥かに長く感じてしまいました。

長大な物語を短い尺に収めようとするあまりに、
緩急の「緩」の部分を過剰に削りすぎてしまったかと……。

また、大幅なシーンの省略のせいか、各キャラクターや勢力の
関係が把握しにくいため、ゲームの「スパロボ」シリーズなどを
通して「Zガンダム」に興味を持った人が入門編として見るには
不向きな内容
です。

名場面の再現を期待して見るファンも、名エピソードや名セリフの
多くが大胆にカット及び変更されているので不満
かと。

重要エピソードを省いたために整合性のとれていない
シーンがあるなど、作業も中途半端に感じました。

一番の注目点であるテレビ版と異なるラストも、
既に「ガンダム」の別作品でやってるようなオチなので
特に感動するようなことはありませんでした

戦争を題材にしたアニメの決着の付け方としては
テレビ版の方が説得力があるし、戦争を描くことに対する
責任感が感じられて良かったかと思うのですが。

Gacktが歌うエンディング曲も三部作の最後を飾るには
あっていなかったように思います。

富野監督は雑誌インタビューなどでラストを作り変えた理由を
語られており、その理由は納得いくものではあるのですが、
映画を見ただけではラストを作り変える必然性は
伝わってきませんでした

映画本編のみでラストの変更を納得させる程の演出を
期待していたものの非常に残念です。




ただ一点、故鈴置洋孝氏演じるブライト艦長のセリフで
締めくくられた点は感慨深かった……

私は鈴置洋孝氏が肺癌で亡くなられたと聞いた時は
かなりショックを受けました。

ブライト艦長や斉藤一(「るろうに剣心」)など
氏の演じるキャラクターが好きだっただけに……。

鈴置洋孝氏のご冥福をお祈りします。

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2006年8月29日 (火)

「報復」の先に待つもの 「ミュンヘン」

スティーブン・スピルバーグ監督の社会派映画、
「ミュンヘン」を見ました。

ミュンヘン スペシャル・エディション ミュンヘン スペシャル・エディション

販売元:角川エンタテインメント
発売日:2006/08/18
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本作は1972年ミュンヘン五輪時にパレスチナ過激派が起こした
イスラエル選手団襲撃事件と、その報復としてイスラエルの
諜報機関が行った事件首謀者暗殺計画を題材にした作品です。

暗殺チームのリーダーを任された主人公アブナーの視点を通して
お互いの信じる正義と信念のために非戦闘員を巻き込んで続く
不毛な報復合戦
が描かれています。

暗殺リストに記載されたターゲットを始末していくと、
ある時点から逆にパレスチナ側の暗殺ターゲットに入り、
命を狙われる立場になっているという皮肉や
暗殺の手段を知ってしまっているが故に、
暗殺を恐れてベッドの上で眠れなくなる恐怖感など、
「報復に報復で返すこと」のむなしさが巧みに表現されており、
胸が苦しくなりました

また、イスラエルの暗殺チームとパレスチナ過激派のどちらも
本来は家庭を愛し、音楽を楽しむ血の通った人間であることを
伝える演出が事態の深刻さ、問題の根深さを浮き彫りにしています。

そして、ラストシーンでアブナーが言うセリフが、
“There’s no peace at the end of this, no mater what you believe.
You know this is true.”
「こんなことの先に平和はない それが真実だ」

その後、背景にさりげなく映るワールド・トレードセンター。

扱っている事件が過去のものではあるものの、
現在もなんら情勢が変わっておらず、
報復の応酬に先がないことがわかっていながら
現在も延々と同じことが繰り返されている。

今後、映画は何度同じ問題提起を繰り返していかなければ
ならないのでしょうか。

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2006年8月27日 (日)

娯楽映画の宝石箱 「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」

「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」
を観てきました。

Dead_mans_chest

ジョニー・デップ、オーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイ
といったハリウッド屈指の美男美女が繰り広げる
華やかなアクションと恋愛模様に魅せられっぱなし
で、
期待通りとても楽しめる娯楽映画でした。

前作も非常に豪華なキャストではありましたが、
オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイの成長により
さらに輝きが増し、より豪華な印象になっています。

前作では嫌味キャラだったジャック・ダヴェンポート演じる
ノリントン提督がワイルドキャラにイメチェンして出てきたりと
脇役陣の魅力も増しているのも良かった。

2時間半という長尺ですが、笑わせつつ決める時には
キッチリ決めるセンスの良いアクションシーンの連続で
飽きを感じさせません

海洋生物と一体化した不気味な敵集団や
帆船を襲う巨大イカ・クラーケンなど、
視覚効果でもかなり楽しませてくれます

初期のジョージ・ルーカス作品や宮崎駿作品のような
ワクワクドキドキする冒険映画の楽しさが詰まっています。

スターのオーラと見応えのある特撮技術で、
観客を映画ならではのファンタジーな世界に連れて行ってくれる
これぞハリウッドエンターテインメント!
という仕上がりに大満足でした。

ところで、私は本作鑑賞の前日に前作をDVDで
再見したのですが、これは大正解でした。
本作には前作を踏まえた小ネタがふんだんに盛り込まれており、
終始ニヤリとさせられることしきり

前作の記憶が鮮明な状態で見ると確実に面白さが増幅します!

ところで、本作は三部作として制作されることになった
シリーズ映画の第二作。

「バック・トゥ・ザ・フーチャー PARTⅡ」しかり、
「スターウォーズ 帝国の逆襲」しかり、この手のシリーズの
二作目はいつも続きが気になるところで終わるのがお約束。

というわけで、本作も
これで役者が揃った!
というところでスタッフロール。

絶対に続きが見たくなるずるい終わり方。

三作目の公開が待ち遠しくて仕方がありません。

 

なお、本作には前作と同様にスタッフロール後のおまけ映像が
ありますので、最後まで席を立たないことをオススメします。
クスッと笑えて癒されますよ。

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2006年8月24日 (木)

子供向けでも容赦なし! 「びっくり館の殺人」

「びっくり館の殺人」を読了しました。

綾辻行人氏の代表作「館」シリーズの第8作です。

びっくり館の殺人 びっくり館の殺人

著者:綾辻 行人
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本作は「かつて子どもだったあなたと少年少女のための」が
謳い文句の「ミステリーランド」からの発刊であるため、
体裁は子供向けに書かれています。

とは言っても、いつもの妖しい雰囲気は変わらず。

不気味ないわれのあるお屋敷。その洋館に住む謎めいた少年。
亡くなった少女を模して作られた人形……。
など、著者お得意の要素が効果的に使われており、
独特の不気味な雰囲気が巧みに演出
されています。

七戸優氏の挿絵効果も加わって、子供にトラウマ与えそうな
おどろおどろしさがかなりいい感じ
でした。w

もっとも、作品のテーマやオチのつけ方は、ホラー色強めの
「囁き」シリーズに近く、「館」シリーズの中では異色かと。

「館」シリーズの中では同じく異色作の第4作「人形館の殺人」が
一番近い感じかと思います。
住宅地に建つお屋敷が舞台である点や、人形が重要な
小道具である点が共通していますしね。

ゴシックホラーとして非常に楽しめる内容になっていました。

↓「囁き」シリーズ

緋色の囁き 暗闇の囁き 黄昏の囁き

↓「人形館の殺人」

人形館の殺人

まあ、本格ミステリーとして読むと、トリックの肩透かし感は
否めなかった
のですが……。

子供向けだからトリックをシンプルにしたのか……、
最近はトリックのアイデアが枯渇気味なのか……。

前者の理由であってほしいとは思うのですが、
前作「暗黒館の殺人」や佐々木倫子とのコラボ「月館の殺人」も
正直言ってトリックはイマイチでしたし……。

「幻想小説」としての氏の作品も好きですが、
氏の作品でミステリーの深みにはまった私としては
「殺人方程式」のような、とことん理論にこだわった
ミステリーらしいミステリーもまた書いてほしいんですけねえ

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2006年8月20日 (日)

英雄の孤独 「力道山」

昭和を代表するプロレスラー、力道山の人生を描いた韓国映画
「力道山」を見ました。

力道山 デラックス・コレクターズ・エディション 力道山 デラックス・コレクターズ・エディション

販売元:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
発売日:2006/08/04
Amazon.co.jpで詳細を確認する

戦後の日本国民に勇気を与えた昭和の英雄、
力道山の人間として弱い部分に焦点を当てたドラマとなっており、
非常に見応えのある作品でした。

映画の力道山は現状を打破するために、過酷な状況を
耐え抜ける強靭な意志を持つ反面、自分がいかに多くの人に
支えられているかに気づけない鈍さを持ち合わせた
人間であるように私には見えました。

まれながらも、人間不信に陥っていく
の姿は非常に痛ましい……。

また、日本人の英雄になった後、朝鮮人という出自を隠す姿や、
朝鮮にいても朝鮮戦争で銃弾を防ぐ盾にされるだけだったと
述懐する所などから、日本人にも朝鮮人にもなれない
国を失った人間の悲しみも感じられます

自らを「世界人」と称し欧米文化に傾倒する姿に、
自分の国を作ろうとする野心を持った人間の強さと弱さ、
矛盾した要素を同時に併せ持つ人間の奥深さが現れています。

 

朝鮮人として生まれ、日本で英雄となった力道山の苦悩を
見事に表現したソル・ギョングの演技には圧倒されました

最初日本語のセリフはたどたどしいものの、
表情の演技で充分にカバーしているところが素晴らしいです。

力道山を支える三人の人物、力道山の妻を演じる中谷美紀と
後援会長役の藤竜也、マネージャー役の萩原聖人も好演。

俳優陣の存在感溢れる演技がドラマに深みを与えていました。

また、八百長問題やヤクザ関連の興行主などといった
プロレスのダークな面を直接的には描かないものの、
それとなく匂わせるバランス感覚の良さも本作に深みを与える
要素の一つになっていたと思います。

あと、余談ですが本作には武藤敬司や故橋本真也など
プロレス界の重鎮が多数出演しています。
特に故橋本真也の勇姿はプロレスファンなら見逃せないでしょう。

本物のプロレスラーが演じるアクションは迫力があって良いですね。

まあ、武藤のキレのある動きとかは、当時のプロレスにしては
洗練されすぎているようにも感じてしまうのですが……。

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2006年8月19日 (土)

テレビドラマとは別物 「スカイハイ 劇場版」

人気テレビドラマを映画化した「スカイハイ」を見ました。

スカイハイ 劇場版 スペシャル・エディション スカイハイ 劇場版 スペシャル・エディション

販売元:アミューズソフトエンタテインメント
発売日:2004/05/21
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本作の監督は「スカイハイ」の原作者、高橋ツトム氏の
別漫画「ALIVE」を映画化した北村龍平

「VERSUS ヴァーサス」や「あずみ」など、
アクション映画でヒットを飛ばしている監督です。

テレビドラマ版はホラー色や人間ドラマ色の強い
エピソードで構成されていましたが、
劇場版では北村監督らしくアクションシーン
てんこ盛りの伝奇アクションムービー
になっていました。

菊池秀行や夢枕獏の書く小説のような、オカルトネタ全開で
けれん味の利いたストーリ
が展開していきます。

私は中学時代に「魔界都市<新宿>」シリーズなどの
伝奇アクション小説にどっぷりとはまっていたので、
劇場版の話はかなり楽しめました

黒コートをはためかせて戦う悪役大沢たかおが
末弥純氏のイラストから抜け出てきたみたいでナイス!
とか、思いつつ見ましたよ。
(私にとって黒コートで連想するのは「マトリックス」よりも、
末弥純氏の描く伝奇小説のカバーイラストなのです。)

正直言って心理描写の演出はイマイチですが、
ラブロマンスの要素などもそれなりにきれいな決着がつけられており、
娯楽作品としては充分にまとまった良い仕上がりです。

ただまあ、テレビドラマ版のイメージとはかけ離れているので
テレビドラマ版のファンの中には引いてしまう人もいるとは
思います
けどね。

逆にテレビドラマを見たことがないという人でも、
ゲームの「デビル メイ クライ」みたいなアクションとストーリーが
好きな人でしたら、この映画ツボにはまるかと。

ところで、刑事バイオレンスもののような雰囲気の序盤は
「スカイハイ」というよりも同じ原作者の別漫画「地雷震」を
見ているようでした。

刑事の谷原章介が情報屋の北村一輝をボコボコにするシーンとか。

いっそのこと、北村監督、谷原主演で「地雷震」
撮ったらどうかなあって思いましたよ。

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2006年8月18日 (金)

名探偵v.s.名犯人 「容疑者Xの献身」

今さらながら第134回直木賞受賞作品、
東野圭吾の「容疑者Xの献身」を読みました。

容疑者Xの献身 容疑者Xの献身

著者:東野 圭吾
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本作の主人公は数学者として天才的な頭脳を持つものの、
今は高校の数学教師に甘んじている冴えない男性石神。

彼が密かな恋心を抱く隣人女性、花岡靖子とその娘の犯罪を知った
彼は、母娘をかばうために完全な犯罪計画を構築する。

完璧な隠蔽工作であったが、石神と同窓であり
殺人事件の解決に貢献したこともある物理学者、湯川が現れ……、

というストーリー。

 

類まれなる頭脳を持つ者同士の緊迫感溢れる攻防の面白さ
引っ張られ、最後まで一気に読み進めました。

また、靖子に言い寄る男性の出現による、
石神と靖子の心理面の揺れも読みどころ

ミステリー読者の盲点をつく大胆なトリックと、
石神の心情が明らかになる真相も圧巻

東野圭吾氏の作品を読むのは久々でしたが、
やはり上手い作家だなあと感心することしきりでした。

ただ、ネタバレになるので詳しくは書きませんが、
純愛という一言で感動要素のみ強調する帯の文は
倫理的な面で若干気になってしまいました

やはり犯人のやったことは許しがたい行為なわけで、
帯の文のように綺麗ごとな表現でまとめられてもなあ、と。

まあ、出版社の売り方に対する不満であり、
本編自体はその辺をわきまえている感じはあったのですが。

あと、確かにとても面白く上質な作品ではあるものの、
本作が過去に直木賞候補になった東野作品よりも
優れているかというと、ちょっとそうは思えなかったり。

東野さんの受賞はとてもめでたく嬉しいことなのですが、
なぜ「秘密」や「白夜行」の時点で受賞できなかったのかという
疑問は感じてしまいましたね。

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2006年8月17日 (木)

映像作品である意義は? 「ゲド戦記」

宮崎駿監督のご子息である宮崎吾郎氏の初監督作品
「ゲド戦記」を見てきました。

Gedosenki_1

某映画批評家がゴミ呼ばわりしていましたが、
そこまでひどい出来ではなかったとは思います。

吾郎氏が現在の社会に強い問題意識を持ち、
観客に伝えたい明確なメッセージがあって映画を
作っている点は好感
が持てました。

ただし、メッセージの伝え方には大いに問題があった
ように思います。

「ゲド戦記」では観客に伝えたいメッセージを全て
登場人物に直接喋らせてしまっている
のです。

登場人物の行動を通して、観客にテーマを考えさせ、
自然にメッセージに気づかせるようにすのではなく、
作り手の言いたいことを登場人物の口を借りてそのまま
伝えていることで、本作は非常に説教臭い印象の映画に
なってしまっています。

作り手の考え方をそのまま伝えてしまうことで
観客が自発的に映画のテーマについて考える機会が奪われており、
結果として深みのない作品になっていると言わざるをえません。

セリフに頼りすぎることによって、映像で観客の目を
楽しませることを失念してしまっているように思える
シーンが多く見受けられた
ことも残念
でした。

アクションシーンでは既存作品の影響は色濃く感じられるものの
それなりに高揚感のある手堅い演出が行われているのですが、
重要なセリフになると途端に絵が止まってしまうのは致命的

挿入歌「テルーの歌」が流れるシーンはその最たるもので、
楽曲が流れている間、ほぼ演出を放棄したかのように
静止画に近い風景映像を延々と流す見せ方は、
楽曲の良さを台無しにしているとしか思えません。

肝心な場面で視覚に訴えるという映像作品最大の武器を
効果的に使用していない本作に、私は
映像作品である意義を見出せませんでした。

他にも、主人公アレンの父殺しの罪に対する処理が行われないまま、
「アレンが人間として大きく成長しました。めでたしめでたし」で
締めくくられる釈然としないラストなど問題を感じる点は
多く見受けられます。

父以上に人間の負の面に正面から切り込んで描こうとする
吾郎氏の意欲は充分に感じられましたが、
氏にはまだ「ゲド戦記」という名作小説を扱うには
荷が重かった
かと思います。

この点は吾郎氏の責任というよりも、吾郎氏に短編映画での
修練の機会を与えず、話題作りのためにいきなり大作を任せた
鈴木敏夫プロデューサーの姿勢に問題がある
ように感じます。

新人監督の育成よりも話題性を重視する姿勢によって
「スタジオジブリ」ブランドの崩壊を招くことがないことを、
「スタジオジブリ」の一ファンとして願わずにはいられません。

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2006年8月15日 (火)

戦争を語りつぐ意義 「男たちの大和/YAMATO」

終戦記念日である本日、「男たちの大和/YAMATO」
見ました。

男たちの大和 / YAMATO 男たちの大和 / YAMATO

販売元:東映
発売日:2006/08/04
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本作は戦艦大和に搭乗した15歳の少年兵の視点を通して
戦争の悲劇が語られる映画です。

年端も行かない少年たちがどのような思いで戦ったのかが
丁寧に描かれており、胸を打たれました。

お国のためにという理由はもちろんあるものの、
死を賭して戦いに赴く本当の理由は
故郷で待つ母や将来を約束した母のため。

愛するものを守りたい一身で無謀な戦いに挑み
散っていく兵士たちの姿に悔しさを感じました。

傾いた大和の甲板から滑り落ち海に放りだされる兵士や
原爆によって愛するものを奪われる者悔しさを見て、
このような戦争を繰り返してはいけないという思いが自然と
湧き上がってきました。

もちろん、「男たちの大和/YAMATO」も戦争のある一面しか
描けていない部分や偏った表現になっている部分はあると思います

しかし、それを承知した上で見ても、本作にこめられた
平和を願う気持ちに嘘偽りはない
と感じました。

折りしも今年は小泉首相の靖国参拝問題により、
例年以上に国民の太平洋戦争への関心が高まった年であり、
戦争について考える良い時期ではないでしょうか。

本作は戦争について考えるとても良い材料になると思います。

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2006年8月14日 (月)

巨費を投じたバカ映画 「プロミス<無極>」

真田広之、チャン・ドンゴン、セシリア・チャン、
ニコラス・ツェーという豪華な俳優陣と
環境破壊問題で注目を集めた話題作
「プロミス<無極>」を見ました。

PROMISE <無極> プレミアムBOX PROMISE <無極> プレミアムBOX

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2006/08/04
Amazon.co.jpで詳細を確認する

事前の情報からトンデモ系の映画であるとは聞き知って
いたのですが……、

んな、アホなっ!!!
これほどバカな映画とはっ!!!

て、ツッコミが終始絶えない程、無茶な展開の連続に驚きました。

牛の大群に追われて、アラレちゃん並みの速度で走るチャン・ドンゴン。

ハリボテ感丸出しな鉄球を振り回して、某一騎当千なアクションゲームの
プレイヤーキャラクターよろしく敵兵をなぎ倒しまくる真田広之。

美川憲一の紅白のステージ衣装みたいな鎧を着て
調子乗りまくった行動を連発するニコラス・ツェー。

などなど……、

最初から最後までひたすら思わず失笑してしまうシーンのつるべ打ち。

特に終盤のニコラス・ツェーが悪に走った経緯を語るシーンでは
その理由のしょーもなさと豪快な責任転嫁ぶりに
呆れるやら、爆笑するやら。

ある意味面白いし、飽きを感じさせないのですが
作り手がギャグでやってるのかマジでやってるのか
イマイチわからないので、痛々しさが先行しています。

名匠チェン・カイコー監督、いったいどうしてしまったのと
かなり不安になってしまいました……。

俳優陣は皆良い味を出しているのですが、
ストーリーやCG技術のしょぼさがいかんともしがたく
制作費とキャストに見合った仕上がりじゃないなあ。

まあ、及川ミッチーのキャラクターを思わせる
ニコラス・ツェーの暴走ぶりなどそれなりにツボな点も多く
酷評している割には、まあまあ楽しめたんですけどね。w

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2006年8月13日 (日)

まだまだ現役アクションスター、ハリソン・フォード 「ファイヤーウォール」

ハリソン・フォード主演作「ファイヤーウォール」
見ました。

ファイヤーウォール 特別版 ファイヤーウォール 特別版

販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
発売日:2006/08/04
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本作のハリソン・フォードは銀行のセキュリティー部門の
トップという役柄。

ポール・ベタニー率いる強盗団に家族を人質にとられ、
自らセキュリティーを破らなければならなくなるという
サスペンス映画です。

セキュリティーのプロと知能犯の頭脳戦が主かと思いきや、
意外にもアクション中心の展開に。

ハリソン・フォードが老齢にも関わらず、
まだまだ若い者には負けないぞとばかりに大活躍。

トム・ハンクスよりワシの方が動けるんじゃい!
ポール・ベタニーとだって互角に戦えるんじゃい!

と、往年のアクションスターの貫禄を見せ付けてくれ、
子供時代に「インディ・ジョーンズ」に夢中になった
私としてはとても楽しめました。

もっとも、サスペンス映画としては展開に目新しさは無く、
ツッコミどころも多い作品ではあるのですが。

まあ、登場人物全員、頭がよさそうに見えて
実はけっこう間抜けな点があるのが可愛らしく
面白い部分にもなってはいます。

緻密な計画を立てた割には予想外の事態にオタオタする強盗団や、
玄関先で訪問者をろくに確認もせずに扉を開けてしまって強盗団に
あっさり侵入されるハリソンの嫁など、笑ってしまいました。

「ダ・ヴィンチ コード」でも良い味を出していた
ポール・ベタニーが本作でも冷徹な強盗団のリーダー役を
好演している点も楽しみ所
かと。

もっとも、後半はポール・ベタニーにもうちょっと活躍の場を
与えてあげてよと脚本家に言いたくはなりましたが……。

あと、ハリソンの飼ってる犬が可愛かったのもよかった
何気に犬で満足度+1。

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2006年8月12日 (土)

姿勢を正して見る映画 「ユナイテッド93」

本日8月12日から公開の映画「ユナイテッド93」
見てきました。

United93_5   

9・11時にハイジャックされた4機の中で唯一
テロの目的地に辿り着くことなく墜落した
ユナイテッド93便の内部の模様を
緻密な取材に基づいて再現した映画
です。

アメリカでは、公開前に「9・11を扱うには時期尚早」など
反発する意見が目立ち、一部の劇場で予告編の上映を
取りやめるなどの騒ぎが起こったそうです。

センセーショナリーな話題性が先行している観もある
本作ですが、実際には興味本位の商業主義と
政治的なメッセージ性は排除されており、
作り手の真摯な姿勢が伝わる作品
となっていました。

事件に直面した人達が自分に何ができるかを考えて起こす行動や、
愛する者へ最期のメッセージを伝える様子を、感傷的な演出ではなく、
ドキュメンタリータッチの冷静な視点で描くことで、
人間の尊厳、事件の起こった要因についてより深く考えさせられる
内容
となっていたように思いました。

事件を起こしたテロリストでさえも単純な悪、恐怖の対象としての
存在ではなく、苦悩を抱える人間として描く公正な視点も
本作に深みを与えています。

観客の感情に訴えるのではなく理性的に問題を提起し、
アメリカ国民の怒りを再び掻き立てるプロパガンダ映画や、
ただ事件の悲しみを再び思い出させるだけの映画にしなかった
作り手の姿勢が素晴らしいと感じました。

手持ちカメラによる臨場感のある映像や、緊迫したシーンの連続、
俳優の迫真の演技に圧倒され通しで非常に疲れましたが、
見てよかったと心から思える映画です。

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2006年8月10日 (木)

西尾維新とCLAMPの相性は抜群!「アナザーホリック ランドルト環エアロゾル」 

「デスノート」に引き続き、西尾維新氏のノベライズ作品
「アナザーホリック ランドルト環エアロゾル」を読了。

×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル ×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル

著者:西尾 維新
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本作の原作はCLAMPの「×××HOLiC」

「×××HOLiC」は頼れるS系最強お姐さんといじられ役の
少年という主役コンビや人気漫画をネタにしたやりとりなど、
西尾氏本来の作風と共通する要素が多い作品だけに、
「デスノート」よりも原作の世界観とのブレが少なく、
西尾氏本来の色も出ている小説となっています。

もっとも、漫画絡みの小ネタは原作よりもマニアック度が
数段増してますが。w

「×××HOLiC」の特徴である人間の精神の歪さによって
生じる怪異の恐ろしさが本作でも巧みに表現されていて、
原作と同質の面白さが味わえるのがなによりも良いところ。

また、原作のテーマを描きつつ、西尾維新作品で
常に繰り返されるテーマもしっかり追求
している点に
西尾維新の小説家としての気概を感じます。

「視覚」というキーワードで「デスノート」のノベライズと
つながる点も面白いですね。

「×××HOLiC」が好きな原作ファンと西尾維新ファンの
どちらも楽しめる内容
と思います。

もちろん、「×××HOLiC」と西尾氏のどちらも
好きな方であればより楽しめること間違いなしですよ。

↓私のオススメ西尾維新作品

クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識 クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識

著者:西尾 維新
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

↓西尾維新、もう一つのノベライズ作品

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

著者:西尾 維新,大場 つぐみ,小畑 健
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2006年8月 9日 (水)

ロージー成長中! 「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」7巻

「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」
7巻を読みました。

ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 7 (7) ムヒョとロージーの魔法律相談事務所 7 (7)

著者:西 義之
販売元:集英社
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7巻ではムヒョが冥王との契約に挑む話と
ロージーが強化合宿参加中に起こったハプニングに
立ち向かう話が同時進行で展開していきます。

ムヒョサイドの強大な力と力のぶつかり合いと
ロージーサイドの凶悪な悪霊にじわじわと
追い詰められていくサスペンスを交互に見せる
メリハリの利いた構成が上手い

また、今回も各キャラクターが活き活きと
動き回っておりとても魅力的
に見えました。

特に再開時のムヒョとロージーの二人のやりとりや
ナナの言葉にもらい泣きするヨイチは
表情がとてもチャーミングで
今回のお気に入りシーンです。

いよいよ本格的に禁魔法律家達との戦いが
始りそうな予感のする終わり方の7巻ですが、
次巻はさらに物語が大きく動き出すことでしょう。

どのようなドラマが展開していくのか、
期待して8巻を待っていよう思います。

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2006年8月 8日 (火)

サスケ、再登場! 「NARUTO-ナルト-」34巻

「NARUTO-ナルト-」34巻を読みました。

NARUTO 巻ノ34 (34) NARUTO 巻ノ34 (34)

著者:岸本 斉史
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

今回はついにナルトが追い求め続けたサスケが再登場

サスケはかなりダークサイドに堕ちているようで
かなり説得は困難な雰囲気ですね。

今回は顔見せ程度の登場だったので
バトルは激化する前に終了。

サスケとナルトの再開シーンは思っていたよりも
おとなしめの演出でちょっと拍子抜け
した感じです。

正直、もっと盛り上げてほしかったなあと思いました。

サイの心の揺れなどの見所はありましたが、
全体的には地味な印象の巻でした。

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2006年8月 7日 (月)

一角祭り! 「ブリーチ」23巻

「ブリーチ」23巻を読みました。

BLEACH 23 (23) BLEACH 23 (23)

著者:久保 帯人
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

今回は表紙と、本編でのバトルの大半を
斑目一角が独占

更木剣八に負けず劣らないバトルマニアっぷりと
男臭さを発揮しておりました。

一角、かっこいいよ!!
強すぎだよ!!

つーか、そんなことできたんかい!!
一護戦の時に使ってたら一護瞬殺じゃねーか!!

って、叫びたくなる程の大活躍。

キャラクター間のパワーバランスがいよいよ
怪しくなってきたなあ……。w

一角以外で目立っていたのは、乱菊とルキア。

乱菊姐さんはブリーチのサービス担当として
不動の地位を築き上げましたね。w

ルキアはバトルの実力を初披露。

破面(アランカル)との戦いではルキアも
最前線で戦うことになりそうですね。
シスコン兄貴の心配ぶりが楽しみです。w

さて、一護や茶度はこの巻もいい所無し。
雨竜に至っては出番無し。

死神達の活躍を見るのも楽しいですが
そろそろ現世組みの活躍も見たいなあ

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2006年8月 6日 (日)

一年半ぶりの新刊! 「ヘルシング」8巻

「ヘルシング」8巻を読みました。

HELLSING 8 (8) HELLSING 8 (8)

著者:平野 耕太
販売元:少年画報社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

本作の最大の魅力である、宗教や思想への思いが
信念を通り越し狂気に至った者たちの
繰り広げる激闘はさらにエスカレート

主人公である吸血鬼アーカードが真の姿になったり、
主要キャラクターの一人が退場したりと
終幕へ向けて物語が大きく動いています。

クライマックスということもあって、
平野耕太ならではのセリフ回しも
とことんキレてて良い

全編、会話がもはや詩になっています。w

特にアカードvs.アンデルセン神父戦の会話は
ホントかっこいい。

また、8巻ではアーカードが見せる様々な表情が印象的

アーカードがアンデルセンに見せる人間への敬意や
深い哀しみが滲みでた表情、
セラスに見せる優しい微笑みに胸を打たれました。

極限状況の中でさらにどのようなドラマが展開するのか、
おそらく1年後発売の9巻も楽しみです。

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2006年8月 5日 (土)

西尾氏ならではのノベライズ 「DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件」

昨日、西尾維新氏による「デスノート」のノベライズ、
「DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件」
を読了しました。

DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件 DEATH NOTE アナザーノート ロサンゼルスBB連続殺人事件

著者:西尾 維新,大場 つぐみ,小畑 健
販売元:集英社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

戯言シリーズなどの個性的な作品で知られる西尾さんだけに、
どのような切り口で勝負するのかと思いきや、
本作は意外に直球ど真ん中の本格ミステリー

密室やアナグラムなど、ミステリーの王道ネタが
ふんだんに盛り込まれており、
西尾作品の中では一番ミステリーらしいミステリー
になっていました。

人気漫画のノベライズという特性を上手く生かした
トリックも上手いですね。

また、「デスノート」の設定を借りつつも、
「代替品」などの西尾単語が登場し、
しっかり西尾ワールドになっている点が
氏の作品のファンとしては面白かったところです。

もっとも、「赤ずきんチャチャ」など、やりすぎな
小ネタが多く、原作より作風が軽くなりすぎて
しまった感も
あります。

西尾作品に初めて触れる読者は引いてしまうかも。

本書は「デスノート」が好きで西尾維新の小説も
好きという読者ならまず満足
できる作品と思います。

ただし、純粋に「デスノート」が好きという理由のみで
本書を手にした読者が楽しめるのかどうかという点では
疑問
に感じました。

↓西尾維新代表作品

クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い クビキリサイクル―青色サヴァンと戯言遣い

著者:西尾 維新
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

↓西尾維新、もう一つのノベライズ作品

×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル ×××HOLiC アナザーホリック ランドルト環エアロゾル

著者:西尾 維新
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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2006年8月 3日 (木)

テツ道ミステリーって何!? 「月館の殺人」下巻

綾辻行人原作、佐々木倫子作画の
「月館の殺人」下巻を読みました。

月館の殺人 (下) 月館の殺人 (下)

著者:綾辻 行人
販売元:小学館
Amazon.co.jpで詳細を確認する

上巻で鉄道ミステリーと見せかけておいて、
実は館ものというトリッキーな展開にやられました。

収集癖に取り憑かれた登場人物や
館で起こる連続殺人といった要素が実に綾辻作品らしく、
氏のファンである私はとても楽しめました。

また、佐々木倫子作品らしいとぼけた味わいも
しっかり出ていて良いですね。

テツ道を究めた鉄道オタク達の奇行が
恐ろしくもあり、おかしくもあり……。w

殺人鬼が惨劇を繰り広げる本格ミステリーでありつつ、
愛すべき鉄道マニア達が繰り広げるコメディーでもある本作。

綾辻さんと佐々木さんの個性が絶妙にマッチした
とても面白いコラボレーション
だと感じました。

もっとも、犯人とメイントリックに関しては、
あまりヒネリがなく不満ではあるのですが。

贅沢ですが、もっと漫画という媒体ならではの
トリックが見たかったなあと。

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2006年8月 2日 (水)

名探偵の仕事は人を幸せにすること 「そして五人がいなくなる 名探偵夢水清志郎事件ノート」(講談社文庫版)

私は大学生の頃、書店員のバイトをしていたのですが、
その頃、児童書コーナーで常に平積みされている
人気小説がありました。

はやみねかおるさんの
「名探偵夢水清志郎事件ノート」
というシリーズです。

「名探偵」という単語はミステリー、特に「本格」ものが
好きな私の興味を惹くには充分だったのですが、
当時の私は所詮子供向けだろうと思ってしまい
「夢水清志郎」シリーズを読むことはありませんでした。

2006年、その「夢水清志郎」シリーズの第1作
「そして五人がいなくなる」が講談社文庫に収録されることに。

そして五人がいなくなる<名探偵夢水清志郎事件ノート>

帯には宮部みゆきさんの推薦文「はやみねかおるさんは
子供たちだけのものではありません。」
の一文が。

今さらながら、「夢水清志郎」は凄いシリーズなのではと
思った私は「そして五人がいなくなる」を購入することに。

で、一気に読了しました。

ごめんなさい。過去の私は愚かでした。
不明を恥じます……。

ミステリーへの深い愛情に満ちたとても素晴らしい
本格ミステリー
でした。

本作のトリックや犯人自体は単純ではミステリーを
読み慣れた人ならすぐに気づいてしまうとは思いますが、
全編に子供たちにミステリーを好きになってもらいたいという
はやみねさんの気持ちが溢れています。

子供たちにミステリーの楽しさを的確に伝えようとする
意志が、大人にも初めてミステリーを読んだ時の
ワクワク感を思い起こさせます。

かつて「夢水清志郎」を読んでミステリーとの素晴らしい
出会いを体験できた子供はとても幸せです。

そして、講談社文庫で「夢水清志郎」と出会えた大人もまた、
ミステリーを初めて読んだ時の素敵な体験が
再び蘇るのですから、とても幸せだと思います。

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